＜主 題＞深まる
＜聖 句＞
「地はお造りになったものに満ちている。」
（詩編１０４編２４節）
写真：ジャック・オーランタン 保護者作
朝、夕がすっかり涼しくなり、時には肌寒い時さえあり、秋の深まりを日々感じます。季節が変わると共に、自然の営みも変化し、実りの秋を迎えています。私たちの周りでも多くの恵みが与えられていることを感謝します。子どもたちは、この恵みの秋を通して、多くのことを経験して大きくなろうとしています。この機会を逃す事なく、子どもたちと共に喜びと感謝に満ちた日々を共有して過ごして行きたいと願っています。今年は、夏の暑さ（熱さ）が厳しく、園舎裏の渋柿が不作となっています。昨年は、園児が何度か食し、皆さんにお分けしても余りあるほどの豊作でしたが、今年は、ほんの少しの数となっています。熱さを迎えるまでは、小さな実を沢山つけており、今年の収穫も期待していたのですが、残念ながら、大きく育つ前、色づく前に地面に落ちてしまいました。自然の営みなので、私たちにはどうすることも出来ません。しかし、その一方、園庭にて土のう袋を用いて育ててきたさつまいもは、昨年よりもよく育ち、豊作となっています。今、与えられている実りの秋を心より神様に感謝し、与えられた物(多くても少なくても)を分かち合い、喜びと感謝の時としたいと思います。
この嬉しい恵みに満ちた秋を迎えての11月の聖句は、“地はお造りになったものに満ちている。”です。神の造られた世界は、素晴らしい世界でした。神は、人にとって、命あるものにとって、より良き世界を造られました。そこは、喜びと希望で満ちた世界でした。しかし、その大切な世界を、命あるものが自己中心な考えで、次々と壊してしまったのです。それが、今私たちを苦しめている酷暑や豪雨をもたらす自然界の営みとなっているのです。今、私たちの生かされている世界では、国と国との戦争や内紛、自然災害や事故や事件等で大切な貴い命が奪われ続けています。10月の聖句“羊は、一人の羊飼いに導かれて、一つの群れになる。”では、神の愛する羊(人)が、イエスの声に導かれて、互いに愛し合い、思いやり一つの群れとなることの大切さを知らされました。今一度、神の造られたものに満ちている世界を大切に、神に感謝して、神によって与えられている共に生きる他者と、喜び・悲しみを分かち合い、愛溢れる歩みへと向かうことが出来ることを心より祈ります。聖書には、“神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。”(創世記１章３１節)と記されています。神は、造られた世界に満足されていましたが、今の世界はどうでしょう。
子どもたちは、多くのお客さんを迎えて行った運動会にて、心躍らせながら様々な事を経験し、しっかりとその経験を心と体で受け止め、吸収し、豊かな成長の時を過ごしました。特に、“めぐみ”での最後の運動会をみんなで創り上げた年長組は、次のことに向かって意欲的に取り組み、与えられている日々を過ごしています。運動会を終えた今、年長組は、幼稚園玄関に様々な生き物が集まっている“生き物広場”で、“いきものがかり”の働きをしてくれています。毎日その日の当番が、まず職員室に来て、「“いきものがかり”来ました」と声を掛けて、“生き物広場”でメダカとカメの餌やりをし、それぞれの様子を観察して部屋に帰ります。生き物に触れること、観察することは、大切な命と出会う営みです。春に苗を植えて今まで育ててきたさつまいもや夏野菜もしっかりと観察し、適切な世話をしなくては、自然の営みだけ(放ったらかし)ではうまく育ちません。命あるものを植えた責任、飼う責任がいつも伴います。子どもたちとそんな命の営みと出会い、味わいつつ歩みたいと願っています。新しい場所へと居場所を移した“メダカ”は、元気にしているかな？お世話をよろしくお願いします。
これから迎える秋の盛り沢山な出来事の中で、子どもたちは更に成長していく機会が与えられてくることでしょう。しかし、その大切な取り組みやその機会を積極的に受け入れ、吸収しなければ、大事なチャンスを逃すことになるのです。子どもたちにとって大切な今、この時、“地はお造りになったものに満ちている。”世界を、共に味わいたいものです。戻ってこない“今”を。
