園だより9月号 巻頭言
<主 題>おもしろい
<聖 句>
 「人はパンだけで生きるものではない。」
                (ルカによる福音書4章4節)
写真:スズメバチの巣(島根県 三瓶山付近 駆除済み)
 
 長い夏休みが終わり、子どもたちにとって大切な2学期を迎えます。みんなどんな夏休みを過ごしてきたのでしょうか。家族と共に色々な経験をしてきたことでしょう。今年の夏休みは、新型コロナウイルス感染の予防緩和により、至るところで様々な活動が再開されました。子どもたちにとっても楽しいことが一杯あったことでしょう。そんな中で、星陵台公園でも久しぶりに夏祭りが行われました。めぐみ幼稚園は、地域の働きとして、今まで夏祭りに協力してきましたので、今回もかき氷屋でのお手伝いとして参加しました。その祭りでは、沢山の出会いと交わりが与えられて喜びで満たされました。それが楽しみでお手伝いしているところもありますが…。多くの卒園児や在園児、そしてその家族の方々との再会は、嬉しい楽しいひと時となりました。私は、その日卒園児に頼まれて神戸北野で牧師として結婚式の司式を行い、その後祭りに参加しました。そのため、とても疲れており、祭りは他のスタッフに任せるつもりをしていたのですが、いざ祭りが始まり、色んな人の顔と姿を見ると元気が出て、かき氷屋さんを頑張ってしまいました。人と人との出会いと交わりとつながりの力・大切さを実感しました。

 今、喜びに満たされる時が与えられていることを心より感謝します。私たちは、とても恵まれた環境の中で、今を過ごしています。しかし、その一方で、困難や悲しみを強いられている人々もいます。私たちはそのことを忘れてはならないと思います。今年の夏は、ハワイやカナダでの山火事や各地でのハリケーンや台風等で、大切な命が奪われ、多くの場所で生活困難な状況が起こっています。人間による自然破壊の影響で、自然環境が変わり、温暖化し海水温も上がり、毎年のように大雨や暴風や火災で大きな災害が起こっています。今年も日本では台風6号・7号がゆっくりとした動きで襲い、各地に大雨と暴風をもたらし、多くの場所で災害が起こりました。私たち人間が、共に命を与えられている大切な存在として、自然環境に思いを向けてこなかった結果だと強く感じさせられています。自然の営みは、人を生かすために大切な事であり、その自然をいかす(生かす・活かす)ことで、人は潤った生活が与えられて来ました。そのことを忘れてしまい、自分たちの事しか考えずに、自然を軽んじて来た結果が、今の世界です。壊した自然の営みは、人間がどれだけ知恵を絞り、努力しても、回復はしません。そのことにどれだけの人が気づいているのでしょう。自然の営みとは、太陽の光と空からの雨により、自然界の命あるものは、豊かな世界を作って来ました。川や海や大地は潤い、豊かな命を育んできました。大地は木々や草花や野菜や果物を育て、木々は人が生きるのに必要な澄んだ空気を作り、川は人を生かす水を与え続けてくれました。ところが、その営みを人間は、自分たちの都合で、木々を切り倒し、大地を削り、アスファルトでかため、空気や水を汚してきました。その結果が今です。私は今年も島根県三瓶山の近くの家で3日間過ごしました。草刈りをしたり、夜空を眺めたり、自然を満喫しました。日中は30度を越える場所ではありますが、何と朝晩は、涼しく時には寒くも感じる場所でした。今でも、自然の営みが残されている場所は沢山あります。しかし、そんな大切な場所でさえ、人は自分たちの都合で、人を喜ばせるために観光地化しようとするのです。人は何を最優先して歩んでいるのでしょう。

 そんな人間中心の世にあって、自然の大切な営みに心を奪われた人がいます。その一人がNHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公のモデルとなっており、日本の植物分類学の父と言われ、幼い時から植物の持つ魅力や不思議さに心奪われて、そのために生涯を捧げて歩んだ牧野富太郎さんです。牧野さんは、植物との共存の中で「植物は人間がいなくても、少しも構わずに生活することができるが、人間は植物がなくては一日も生活することができない。人間は植物に対しておじぎをしなければならない立場にある。人間に必要欠くべからず、衣食住は、すべて植物によって授けられている。人間は植物に感謝の誠を捧げなければならない。」(『牧野植物一家言』より)と記しておられます。この言葉は、私たちに、私たちを生かしてくれているもの(物・者)へ心を向け感謝して過ごすことの大切さを教えてくれます。

 二学期を歩み出す聖句は、神の子であるイエスが、神に遣わされて人の世を歩み出す時に悪魔の誘惑をを退ける時に用いた言葉です。自らの空腹を満たすために石をパンに変えるという神の力を用いる誘惑を拒否したのです。人が生きるために必要なものは色々あります。その一つとしてパン(食べ物)もあることは確かです。しかし、パンだけがあっても生きていけるものではありません。では、パン以上に大切なものとは何なのでしょう。それは、神が私たちに与えてくださる様々なもの(物・者)に気づき、私たちが生きる上でとても大切な存在であることを知り、その一つ一つを大事にして共に生きることなのではないでしょうか。。
< 園 長 >  
年長組 年長組、プール遊びを存分に楽しみました。
年中組 年中組、お花を使った色水遊び、お花を選んで、ビニール袋に水を入れて揉むとお花の色の色水が出来ました。
年少組 年少組はブロックで色々な物を組み立てたり、砂場ではお水を少し混ぜて、型抜きを楽しんでいます。
著作・製作 学校法人星陵学園 星陵台めぐみ幼稚園
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