園だより4月号 巻頭言
<主 題>よろしくね
<聖 句>
 「子供たちをわたしのところに来させなさい」
                (マルコによる福音書10章14節)
写真:皆で植えたチューリップがきれいいに咲きました。
年 主 題
  ともにつむぎだす 〜希望の中で〜
主 題 聖 句
      キリストはおいでになり、遠く離れているあなたがたにも、
           また、近くにいる人々にも、平和の福音を告げ知らせられました。
                       (エフェソの信徒への手紙2章17節)
  2023年度の新しい歩みが始まりました。今年度始めの聖書の言葉(聖句)は、神の子イエスが様々な神の働きを終えた後、疲れているにも関わらず、子どもたちが来ることを拒む事なく抱きしめてくださった場面で発せられた言葉です。“めぐみ”もそんな愛溢れる場であることを願っています。世においては、子育て支援・子育て環境の充実ということが言われ続け、そのために今まで多くの資金がつぎ込まれてきました。果たしてその事によって各施設は、人的に、環境的に子どもたちを育てるのにふさわしい場所となっているのでしょうか。子どもたちは、与えられている場所で愛情に満たされて日々の生活を楽しめているのでしょうか。少子化と保育施設の充実により各幼稚園は、園児減少となり、様々な工夫をしています。そんな中、垂水区でも弁当日があるのは、“めぐみ”だけになってしまいました。子育て支援は、明らかに親支援、親重視のものとなっています。子どもの育ちに大切なものを奪われる事なく、子ども中心で“めぐみ”が歩み続けられることを祈っています。

 私は、牧師としての働きが与えられていますので、子どもたちの命と生活が守られることを願いつつ、“めぐみ”での歩みをしてきました。それは、神が世に与えてくださった命は、全てが尊く、かけがえのないものであるということを忘れず歩むことです。子どもたちの命にとって、大切な時期の営みを委ねられている“めぐみ”は、個々の存在を大切にし、それぞれの異なりを用いて補い合うことによって、豊かな歩みが出来ることを信じて歩んできました。そんな歩みの中で共感し、大切にしてきた詩がありますので紹介します。

        “川は曲がりながらも”                 榎本栄次
    私は曲がっているのが好きだ  曲がっているほうがいい
    そこにはやさしさがあるから   川は曲がりながら大海に入る
    あの里この村を潤しながら    まっすぐだったら洪水になる
    真理だってまっすぐじゃない   曲がりくねって一つのでき事になるのだ

 私たちは、曲がったり、寄り道したり、失敗したり、間違ったりすることを恐れます。しかし、どれもが私たちの命の営みにとっては、大切で必要なものではないでしょうか。星野富弘さんは“たち止まって いいんだよ ふり返って いいんだよ そこに美しいものを見たのなら すわりこんで ずうっと見ていて いいんだよ”という詩を書いています。私たちはあれもこれもと欲張ってしまいますが、聖書(ルカによる福音書10章42節)にも「必要なことはただ一つだけである。」と記されているとおりです。今、この時、何が大切で、何が必要なのかを考えて歩み続けることが大切なのではないでしょうか。

 毎年、クリスマス献金を送金させていただいている“知能に重い障害をもつ子どもの施設止揚学園”を設立して、長い間、子どもたちと生活を共にし、子どもたちの側に立って歩んできた福井達雨さんが、『やさしい心をもっていますか?』という本を書かれています。その中で、施設に入ってきた時立つことも歩くことも出来なかった子が、二カ月後におぼつかない足取りだが、一歩一歩と足を地面につけて歩き出したのを見て、施設の職員たちが大騒ぎして、大喜びした時のことが記されていました。

   また一歩、一歩と歩くその姿に、この子どもの人生を見る思いであった。
       なんて尊い一歩であろうか。
   今まで歩けなかった子どもが、今そこに歩いている。
       なんて明るい一歩であろうか。
   過去のすべてをふりきった子どもが、今、未来を歩いている。

 こんな感動する場面を、子どもたちと共に過ごす中で、私たちも日々与えられています。子どもたちの発する声や、姿や、笑顔や、泣き顔の中に、たくさんの宝物が隠されています。
ほんの些細な事の中にある宝物と出会うことで喜びに満たされます。子どもが踏み出す一歩に心を寄せて、共に喜び分かち合える者でありたいと思います。そのそれぞれの一歩が大切であり、焦らずゆっくりであって良いのです。先のことを考えるのではなく、まず、今、目の前にあることを大事にしてこそ、次に繋がるのです。“めぐみ”が子どもたちの笑顔の広がる場でありたいと願っています。幼い大切な時に経験したことは、その後に大きな影響を与えます。それは、“三つ子の魂百まで”と言われてきたことで、忘れてはいけないことだと思います。そういう意味で、最初学歴として、いつまでも“めぐみ”を忘れずに訪ねてくれる多くの卒園児や保護者の方々がいることを嬉しく、誇りにも思います。
< 園 長 >  
さくら
年長組 いよいよ年長組スタートです。始園式。
著作・製作 学校法人星陵学園 星陵台めぐみ幼稚園
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