園だより7月号 巻頭言
<主 題>あらわして
<聖 句>
 「主に向かって心からほめ歌いなさい。」
             (エフェソの信徒への手紙5章19節)
写真:めぐみ農園ゴーヤと三尺ささげの蔦が天井まで伸びてきました。

 子どもたちは、与えられている環境の中で、 様々な取り組みをし、幼稚園という集団生活、社会において多くの学びの時を得ています。与えられているもの(者・物)や事柄との出会いの中で、子どもたちは、確実に心も体も成長しています。4月から始まった2022年度の歩みも1学期を終えようとしている今、子どもたちの大きくなっている姿に驚きを感じています。“めぐみ”での生活で大切にされていることは、他者を思いやることです。神様が与えてくださっている世界は、自分一人だけの世界ではなく、他者と共に生きるための世界です。自分が困った時、悲しい時、さみしい時に助けてくれる人がいることを知り、困っている人、悲しんでいる人、さみしがっている人に気づき、側でそっと寄り添い共に歩むことで、互いに笑顔で過ごせる豊かな世界があることを知るのです。園生活においては、4月からそんな場面が繰り返されてきました。共に生きることの喜びと豊かさを知ることで、子どもたちの心は養われていきます。

 7月に入るとすぐに七夕も迎えますが、私たちは神様にどんな願いをもっているのでしょう。与えられている大切なもの(者・物)に気づかずに、都合の良い願い事ばかりをしてはいないでしょうか。神様は、もうすでに私たちに必要なものを沢山与えてくださっています。そのことに気づいて感謝することが大切です。無い物ねだりをするのではなく、あれこれと求め過ぎず、与えられているものに感謝する事が、私たちをより良く生かす道となります。我が家には、車椅子生活をしている31歳の娘がいます。20歳の時に事故で首を骨折し、脊髄を損傷し、下肢は全く動かなくなり、上肢も十分に動かせなくなりました。娘は生死の境を乗り越えて、今の生活が与えられています。その娘の生活を通して、私は多くの学びが与えられ、今も色々な事に気付かされ続けています。突然の出来事で、娘は自分の姿を受け入れられず自暴自棄になり、生きる希望も持てなかった時、周りの人との良き出会いと交わりが与えられ続け、生きる希望と勇気と力を得てゆきました。そして、彼女なりの生き方を見い出すことが出来ました。今もそんな仲間との交わりを大切にしつつ、励まし合いつつ、支え合いながら歩み続けています。そんな娘の姿とも重なりますが、中学校の体育教師だった星野富弘さんは、突然の事故で頸髄を損傷し、手も足も動かなくなり、闘病生活の中で大切な人と神様との出会いにより、筆をくわえて詩や絵を書くことが出来る喜びを知り、多くの人を励ます作品を作り続けています(こころの友6月号参照)。その中から二つの詩を紹介します。

  ◇ 木は自分で動きまわることはできない 神様に与えられたその場所で
    精一杯枝をはり ゆるされた高さまで一生懸命伸びようとしている
    そんな木を 友だちのように思う
  ◇ 動ける人が 動かないでいるには 忍耐が必要だ
    わたしのように動けない者が 動けないでいるのに 忍耐など必要だろうか
    そう気づいた時
    わたしの体をギリギリに縛りつけていた 「忍耐」と言う刺のはえた縄が
    “フッ”と解けたような気がした。

 それぞれが与えられている状況の中で、最も大切なことが何かを知ることにより、楽に生きれるようになります。ありのままの自分を知り、自ら受け入れ、他者に受け入れられて、その中で必要なものと出会い、喜びと感謝に満たされていきます。私たちは、様々な事やものを求め過ぎてはいないでしょうか。7月の聖句“主に向かって心からほめ歌いなさい。”です。神様に向かって心から感謝出来るのは、どんなときでしょう。この聖句の少し前には“時をよく用いなさい。今は悪い時代なのです。”(5:16)とも聖書に記されています。私たちの歩み方一つで様々なものは変えられていきます。夏休みを迎えるまでの日々、子どもたちと喜びと感謝を見いだしつつ豊かな園生活をしていきたいと願っています。
< 園 長 >  
めぐみ農園 めぐみ農園、。
年長組
年中組
年少組
 
著作・製作 学校法人星陵学園 星陵台めぐみ幼稚園
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